第2回NPOマネジメント講座 行政職員のためのNPO理解講座 〜NPOを知る!協働を知る!〜
●講師:大久保 朝江さん ((特活)杜の伝言板ゆるる代表理事) ●日時:2009.5/21(木) 14:00〜16:00
去る5月21日、みやぎNPOプラザにて、『行政職員のためのNPO理解講座』を開催しました。この講座は、新しく赴任された宮城県内市町村のNPOや市民活動団体の窓口部署の職員や、日頃、市民活動団体と関わりの深い部署の職員の方々へNPOについて理解を深めてもらい、両者にとって実のある『協働』を展開してもらうために毎年、この時期に開講しています。 講座の主な内容は、以下の通りです。 ◎これまでの市民サービスのあり方について 行政…市民の税金によって市民の必要な公共的サービスを担うため、公平・平等でなくてはならない。 企業…利益を得ることが見込まれるサービスの提供をする。 市民活動組織(NPO)…少人数対象の問題でも市民の目線で迅速、柔軟性を持ったサービスが可能である。 ※すべては、市民が中心にある。 ◎NPOとは…Non-Profit Organization 「民間非営利組織」 ・「民間」―政府に属さない。 ・「非営利」―非分配性 ※儲けても良いが、組織の中心となる関係者で個人的な山分けをしてはいけない。 ・「組織」―自主的に集まった人々による集団。役割分担やルールが確立されている。 ・特定非営利活動促進法(平成10年3月25日公布) NPO法10年経過。 ・宮城県の民間非営利活動を促進するための条例 ・宮城県民間非営利活動促進基本計画 ※5年ごとに見直しすることになっている。 NPOは、営利を目的とせず、自発的に行う社会的・公益的な活動と定義されている。 ・NPOのふたつの側面―運動体と事業体。最近のNPOは「事業性」が強くなっている。 「市民」とは…「市」「町」「村」という行政単位の「市民」ではない。地域を支える人という意味。 ◎組織とは人の力の集まり 1)地縁型住民組織(コミュニティー組織) そこに住んでいるという共通点だが、主義や価値観が違う人の集合体であることから合意形成が難しく、多数を優先とすると少数派の問題・課題があとまわしになりがち。 2)志縁型組織(NPO) 地域のある課題をテーマとして近い価値観を持った人々が集まり、その解決のために主体的に活動する人々。小さい地域や少数人数を対象としても柔軟に対応できる。担い手があってこそ成立する。 ◎NPO法人とは 1)法人の要件―会員(社員)10名以上。役員(理事)3名以上、など。 2)法人になると―情報公開の義務(事務作業が多くなる) 3)設立への過程―申請書縦覧(2ヶ月以上)→一般社団法人の方が早く設立できる。 4)法人化する意義―社会的信頼を獲得できる。 法人化することで、行政から補助金がもらえると誤解している人も多い。 必ずしも、NPO法人にした方がいいとは限らない。事務作業は増えるために、任意団体に戻りたいという団体も増えている。理事は、社会的責任を負う立場であることを自覚した上で、引き受けるべきである。認定NPO法人は、寄付者に税制の控除があるが、認証を受けるのは、必要書類が多いうえに、認証されるまでに時間がかかる。 ◎NPOの組織経営 1)人―理事やスタッフは有給もあれば労力を無償で提供するボランティアもある。また、資金的支援をする会員や寄付者など、多様な関わり方の人で成り立つ。 2)資金―会費や助成金、事業収入などであるが、人件費を確保することも必要。 ◎行政とNPOの協働 (1)協働の目的―対等であることが必須条件。 (2)協働のあり方 1)参加の機会:委員会や審議会の委員、実行委員など個人の対応 2)補助・助成:団体が主体となって実施する事業に対して行政が県・市・町民のために事業を支援するあり方 3)共催・共同運営:組織と行政で構成する実行委員会やそれぞれの資源も持ち寄り、共同で実施する事業など。 4)委託:行政が主体で企画された事業をNPOや民間が実施する。 5)指定管理:公共の施設管理を民間に任せる。 ※5)は4)委託と異なり、協定書を結んで民間主体で運営する。 ※行政が指定管理者とするために設立したNPOは、決定権や自主的な事業ができないようなNPOは、本来のNPOの意味から外れるが、行政からは資金的に自立していくことを期待される。 (3)欠かせない視点 ・目的の共有 ・到達目標の確認 ・責任の範囲の明確化 を基に相互に事後評価をすることが重要。 NPOは人(労働力・ネットワークなど)、行政は資金(助成・補助など)を持ち寄り、対等な形で行わなければ『協働』する意味がない。『NPO=安い』という固定概念を変える必要がある。行政側がNPOや市民(協働する側)に対して、上から目線ではだめ…などと行政職員の側にとっては、耳の痛いお話もありましたが、NPO側も委託や指定管理を受けるにあたり、キチンとした人件費を予算化し、事業全体の積算ができることが重要である。行政もNPOだから安くていいと思わず、良いサービスをするためには正当な人件費を盛り込むことを認識することが大切である。指定管理は3年ごとに見直されるため、雇用が不安定で人材が育たず、サービスの向上に繋がらないことが心配される。
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