NPO法人には情報公開が義務づけられている。収支計算書・貸借対照表・財産目録を所轄庁に提出しなければならない。任意団体でも地域の人々とともに課題を解決していくためには、日々の会計処理から決算書作成までをしっかり行い、情報公開する姿勢が求められる。今回の講座では、これらを正確かつ円滑に行っていくためのポイントを学んだ。
期末決算書作成のポイントは、年間を通し決算書作成までのスケジュールをしっかり管理すること。特に決算は決算日の2ヶ月前にはいったん締めて仮決算をするのがベスト。会計期の途中で、その期の収支の状況をつかみ、財産の状況を把握するためである。これらを円滑に進める土台が、勘定科目などの基本的事項を整え、団体内の会計処理方法を明確にしておくこと。そして日々の処理を間違いのないように積み重ねていくことである。
NPOの会計には決まったルールはないが、NPOの会計書類は公に公開され、他者が利用するもの。そのため、勘定科目を設定するときには一般的な慣習に配慮する必要がある。また、特にNPOの支出は「事業費」と「管理費」に分けることが基本。ミッション達成のために事業を実施し支出したものが「事業費」、その他組織全体を支える支出が「管理費」となる。これにも厳密なルールがあるわけではないが、事業に直接かかった経費であれば事業費に、それ以外を管理費に分類すれば良い。
ここでのポイントは、団体の活動に賛同してもらえるような会計処理に気をつけること。事業費より管理費に多く使われている団体には、なかなか協力しようとは思えないからである。
また、日々の会計処理について大事なことは、現金の管理。現金を中心に取引が行われることの多いNPOにとっては、現金を数え記録していくことは特に重要である。現金の動きが生じたときには、必ずその日に金額を記帳し、現金残高を確認しなければならない。これが全ての根拠となり、不正を防ぐことにもなる。
「NPO法人の場合は、行政が示す決算書類のひな形に無理に合わせているところが多い。しかし、これはあくまでも目安。NPO法人に限らず市民活動団体にとって大事なことは、自分たちの情報をより伝えられる決算書類を作るという視点を持つこと!」と繰り返し説明を受け、その重要性を理解することができた。
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