消費税法が改正され、前々事業年度の収入が1,000万円を超えていると、課税対象になる場合がある。このため、課税対象となるNPOも増えてきている。今月の税務会計講座では、この仕組みとポイントを学んだ。
消費税は、国内において「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け及び役務の提供」並びに「輸入取引」を課税対象としている。この取引は課税取引と不課税取引に分けられ、さらに課税取引は課税取引と非課税取引に分けられる。
非課税取引には、消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや、社会的政策配慮から課税しないものが定められている。不課税取引は最初から消費税に関係のない取引のこと(給料や賃金の支払、租税公課、弔意見舞金、寄付金、諸会費など)である。
消費税額を算出する方法には、簡易課税制度と一般課税制度がある。簡易課税制度は“課税売上に係る消費税”に“みなし仕入率”を乗じた金額を課税仕入に係る消費税額とみなし納付する。一方、一般課税制度とは、“課税売上に係る消費税額”から“課税仕入等に係る消費税額”を控除して納付する税額を計算する。
課税売上高が5,000万円以下である場合は、簡易課税制度と一般課税制度のどちらかを選ぶことができる。ここでのポイントは、どちらが有利かを見極めること。簡易課税制度では課税売上に係る消費税にみなし仕入率を乗じて税額を計算するので、処理の手間はかなり軽減されるが、一般課税制度のように還付はない。一般課税制度は簡易課税制度よりも計算等が大変だが、設備投資などをした場合、仕入に係る消費税が売上に係る消費税より多いときには、消費税額が還付される。
ただし、いったん簡易課税制度を選択すると、最低2年間は簡易課税制度の適用を継続しなければならず、この点は十分に注意しなければならない。また、取りやめの際にも届出書の提出が必要である。
「消費税法はとても難しく厳しい法律。一般課税制度を選択するか、簡易課税制度を選択するかの検討や、どちらを選択するのが有利かの検討。また課税対象の取引の区分作業と計算。そして期日までの届出や申告、納税…。常日頃から、こういったことを想定してタックスマネジメントをすることが大切です。」と講師の平野さん。また、消費税額の計算の大元となるのはなんといっても日々の会計処理。日々の記帳と、関係する書類の保存は最重要事項である。
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