決算書の作成に取り掛かろうとしている団体が多い4月。今年度初めての会計税務講座では、NPO法人NPO会計税務専門家ネットワーク理事長で公認会計士・税理士の赤塚和俊さんを講師に迎え、決算書作成のポイントを学びました。
NPO法人はNPO法により財産目録や貸借対照表、収支計算書を提出することが定められています。だから決算書を作成する…ということもあるかもしれませんが、決算書には、もっと大切な意味があります。それは「決算書を通して、自分たちがどんな活動をしているか、会員や市民に広く伝えていく」ということ。
NPOは、ミッションにより事業を遂行し、課題を解決していきます。そしてその過程や結果などの情報を公開することが、ステークホルダーからの共感や支援を得ることにつながります。そして、それらをもとにさらに事業を進めていくことで、団体のミッションが実現されます。このなかで、決算書はどのような活動をしているのかを伝えられる、大切なもののひとつなのです。
その決算書を作成するポイントがいくつかあります。一番の基本は、日常から緊張感を持って現金をしっかり管理すること。そして区分経理。NPO法はNPO活動とその他の事業の区分経理を求めており、法人税法では、法人税法上の収益事業と非収益事業の区分経理を要求しています。そのため、期中の経費処理を「事業費」「管理費」「共通費」の3区分にしておくと決算時に配賦計算がやりやすくなります。
また、資金の出入りのみを表現する方法を「現金主義」、それに対して経営成績を正確に表そうという考え方を「発生主義」といいますが、どちらで収支計算書を作成するのかを決めなければなりません。資金の範囲を現金預金とするか、現金預金+未収金+前払費用−未払金とするかで、計算書類の記載も異なってくるので、注意が必要です。
計算書類をチェックするための「チェックリスト」もご紹介いただきました。必要な計算書類(財産目録、貸借対照表、収支計算書)は揃っているか、それぞれの計算書類に間違いはないかどうかを実際に作成したものと突き合わせて確認していきます。こういった確認作業も、正しい決算書作成には欠かせません。
最後に、赤塚さんが理事長を務めるNPO法人NPO会計税務専門家ネットワークが運営する「NPO会計税務サポートサイト(http://www.npoatpro.org/potal/)」もご紹介いただきました。このサイトは、NPOにとって心強いサポーターです。NPOの皆さん、ぜひご活用ください。
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