NPOが市民からの支援を得るために、決算書を通した情報の開示は非常に重要です。効率的で正確な会計情報を発信する手段として、会計ソフトを利用することがあげられます。
6月の会計講座では、税理士でNPO法人の代表も務める瀧谷和隆さんを北海道から講師にお招きして、会計ソフトの導入から決算書作成までの流れと、NPO向けに設定されたソフトの紹介とその特徴について学びました。
一般に会計ソフトとは、決算書までを作成する財務会計ソフトを指します。会計ソフトには、個別のパソコンで会計処理をするスタンドアロン型、事務局内をネットワークでつなぎ、すべてのパソコンで会計処理できるネットワーク型、インターネット回線で情報を共有できるASP型の三種類があり、営利企業、個人事業、公益法人、家計簿用ソフトがあります。
会計ソフトを導入する前に、NPO特有の「本来事業の他にその他事業も行っているか(部門別管理の必要性)」、「助成金や委託事業はあるか(報告先と会計期間の多様性)」、そして「会計担当者と相談したか(使用者に合ったソフトを選ぶ)」などの現場にも踏み込んだ確認が必要となります。
会計ソフト導入によって効率的になるのは集計作業です。
NPO法人になった時、法人税の税務申告が必要になった時、また、助成金・補助金・委託事業がある場合はそれぞれ提出する報告書が違います。さらに提出する決算書や報告書によって、会計ソフトに求める機能が各団体で異なってきます。多くの事業を行っている場合や、助成金事業など年度の途中で報告書を提出する事業がある場合は、部門別管理ができる機能が便利です。
また、NPOの決算書で注意しなくてはいけないのが勘定科目です。営利企業向けのソフトでは決算書の表示が「利益」となってしまい、支援者に誤解を与える可能性があるため注意が必要です。
上記のように一般の営利企業向けのソフトではNPOの決算書に対応していないものが多いため、NPO向けに設定されたソフトもいくつかあります。今回は、会計王8NPO
Limited、N-books、弥生会計、PCA会計(NPO会計)、ボランタリーネイバーズなどのソフトを紹介し、実際に画面を見ながらそれぞれの特徴を学ぶことができました。
ただし会計ソフトにも限界があります。瀧谷先生はその限界を認識し、Excelなど他のソフトと上手に併用することで、会計報告を効率的に行っていきましょうというお話をされました。
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