今回の講師は税理士・中小企業診断士の脇坂誠也さん。脇坂さんはNPO支援東京会議副代表やNPO事業サポートセンターなどの監事を務められるとともに、NPO法人NPO会計税務専門家ネットワークのメンバーでもあり、各地でNPO会計講座の講師として活躍されています。
【「NPO会計マニュアル」とは?】
今回の講座でテキストとして使用したのは、「NPO会計マニュアル」(NPO会計税務専門家ネットワーク発行)。脇坂さんはその制作者です。“この「NPO会計マニュアル」は、簿記の知識も経理の経験もない人がNPOの会計担当者になったような場合を前提に、「最低限これだけは知っておいて欲しい」ということをできるだけやさしくまとめたものです”との言葉の通り、初級者にも分かりやすい“NPO会計の入門書”になっています。
※「NPO会計マニュアル」は、こちらからダウンロード出来ます。
http://www.npo-support.jp/npo_support/npo_kaikei_manual.php
【NPO会計の概念】
会計とは「説明」することであり、NPOにとっては“財産の受託者(NPO)が委託者(会員、寄付者など)に、お金が適切に使われたことを説明する”こと。特定非営利活動法(NPO法)では、事業年度終了の日から3か月以内に所轄庁は計算書類の提出が義務付けられていますが、その目的は、所轄庁を通して、会計を一般に公開し、団体の信用度を高めることにあります。所轄庁への提出書類(※会計に係るもののみ)は次のようなものがあります。
・貸借対照表
所有する財産(預貯金、それ以外の資産)がどれだけあるのか?負債(借金)がどれだけあるのか?を報告するために作成される書類。「資産の部」「負債の部」「正味財産の部」で構成。(★正味財産とは企業会計で言う「純資産」に相当するもので[資産−負債]で産出される差額。)
・財産目録
期末時点でNPO法人が所有しているすべての資産及び負債を具体的に記載した書類。貸借対照表の内訳明細書のような役割のもの。
・収支計算書
収入と支出を明らかにし、1会計年度分を集計し、NPO法人の活動実績を表わす計算書。
【勘定科目の設定】
勘定科目とは、家計簿でいう「食費」「娯楽費」「水道光熱費」など、似た性格の項目を1つに括って分類したものです。設定するにあたっての決まったルールはありませんが、読む人に分かりやすく設定する必要があります。どのように勘定科目を設定すれば多くの人に自分たちの活動をより理解してもらえるか?わかりやすい勘定科目の設定方法を考えましょう。勘定科目設定の例は「NPO会計マニュアル」に掲載されていますので、参考にしてみてください。
終了後には自団体の帳簿を手に、講師に質問をする参加者の姿も見られました。NPOの皆さんの会計に対する意識の高さを知ることができた講座でした。
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