第5回会計税務講座
 IT活用でらくらく会計処理

 ●講師:瀧谷和隆さん
      (NPO会計税務専門家ネットワーク事務局長・(特活)エーピーアイジャパン理事長・税理士)
 ●日時:2009.2/6(金) 13:30〜16:30

 
2月6日会計講座の様子
2月6日会計講座の様子
 NPO法人は、会計税務上で提出する書類の期限がきまっており、いかに効率よく会計処理をしていくかが運営のポイントのひとつです。毎日の取引を理事会や総会に提出する決算書類にまとめたり、帳簿を作成する会計業務はパソコンを使って実施することが一番効率的なのではないでしょうか。
 NPO法人会計のスペシャリストでNPO会計ソフト監修者の瀧谷和隆先生を札幌からお招きし、営利企業用会計ソフトやNPO用会計ソフトの特徴について学びました。

 一般に会計ソフトとは、伝票入力から決算書までを集計する機能を持っている財務会計ソフトを指し、給与計算や税務申告などの機能は含まれません。
 NPO用ソフトと営利企業用ソフトの大きな違いは勘定科目の設定、部門(事業)別管理、決算書の三つで、営利企業用のソフトでは、所轄庁に提出する収支決算書が作成できません。NPO用ソフトを選ぶポイントとして、部門管理ができるかどうか、税法上の収益事業を実施する場合に税務署に提出の必要な損益計算書も作成できるかも挙げられます。

 ここで、単独のパソコンで処理を行う一般的な会計ソフトをご紹介いたします。
弥生会計 基本的に企業向け。収支計算書や財産目録の出力はできないが操作性が高く広くさまざまな業種に対応できる。
会計王NPOリミテッド NPO特有の勘定科目があらかじめ設定(保険・医療・福祉事業関係についてはよりきめ細かに設定)されており、部門別管理にも対応。収支計算書・財産目録が事業ごとに作成可能。損益計算書にも対応できる。
PCA NPO会計 社会福祉法人会計を基に作成されたソフト。収支計算書・財産目録・損益計算書・予算実績比較にも対応。部門別管理はできないが特別会計を設けることができる。
NPO法人ボランタリーネイバーズ「VNS会計ソフト」 エクセルを基に作成されたソフト。決算書は収支計算書と貸借対照表が作成できる。部門別管理はできないが、事業ごとにファイルを区分することで対応が可能。

 一方、インターネット利用会計ソフトで、どこからでもアクセスでき、リアルタイムで情報を共有できるものもあります。
N‐books 部門別管理ができ、NPOに必要な決算書及び損益計算書、予算管理に対応できる。

 このようにNPOの会計に対応したソフトは多くありますが、1つのソフトで全ての会計処理を行うことは難しく、限界もあります。エクセルなども使用しながら決算書を作成することが正確な会計書類作成の近道となります。会計ソフトによっては無料体験版をダウンロードできますので、操作性や必要な機能を確かめながら団体にあった会計ソフトを見つけましょう。

 「会計ソフトは電子レンジと同じ。値段の高いもの、高機能がついていても使わなければ意味がない。自分たちの団体で必要となる機能(部門別管理、予算実績管理、固定資産管理(減価償却費の計算)、消費税の計算、財務分析等)を想定してそれにあった会計ソフトを選ぶこと。」
 「会計ソフトを導入したら、すぐ楽になるとは思わないこと。」
 「初年度はできるだけシンプルに部門や勘定科目を設定しましょう。」
と瀧谷先生のアドバイスにうなずく参加者も大勢いらっしゃいました。



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