講師:田中尚輝さん
((特活)NPO事業サポートセンター
専務理事・事務局長)
|
NPOは常に多くの問題を抱えている。リーダーにとってその問題をどうや って解決していくかが当面の悩みだが、「NPO」という言葉が世に浸透して
いるほどには、NPOの側に問題解決能力が備わっているわけではない。それ どころか、一見、正しそうで実は全く実践的でない思い込みにとらわれすぎて
いるかもしれない。 そんな印象をあらためて強く抱かせられるセミナーが先日、みやぎNPOプ ラザで開かれた。地域NPO学会の公開研究会「NPOマネジメントセミナー
」。NPO事業サポートセンター(東京)の田中尚輝専務理事が「意識的にマ ネジメントする―過去の論理にとらわれないために」をテーマに講演した。
たとえば田中さんは「生徒会民主主義の弊害」を強調する。NPOのリーダーにとって、重要なマネジメントのポイントはいろいろあるが、自分の責任で
理念や目標を達成するのがリーダーの基本だ。このときに反対意見によく耳を傾けて全体をまとめるべきだという、耳障りのいい「生徒会民主主義」に陥る危険がある。
建設的にまとめようとする「反対」はともかくとして、手順や形式の重要性 や正当性を唱えるだけだったり、自分の思いを主張する割には結局、何も責任
をとろうとしない、反対のための反対が多いのも事実だ。そこにいるだけの民主主義、発言するだけの機会均等や公平・平等といった類だ。
「リーダーはそうしたことに耳を傾ける必要はない」「多数決とはつまりは 何も決めないことに等しい」「独裁と言われたって結構。こんなことを言うか
ら私には敵が多い」…。
田中さんは長い間、民間非営利分野のリーダーとして多くの現場を踏んできた。NPOの現場から組み立てることの大切さを肌身で感じている半面、まだ駆け出しにすぎない日本のNPOの現場の状況にも危機感を募らせる。
「特定非営利活動促進法(NPO法)施行から4年目。既に8000のNPO法人が生まれているが、駄目なNPOも多い。NPOへの期待が高かっただけに、このままでは必ず逆風が吹いてくる。NPOは頑張って本当の実力を付ける必要がある。時間はあまりない」
|