宮城県の民間非営利活動を促進するための条例
(平成10年12月15日 宮城県条例第36号)

 私たちの宮城は、民間人による社会貢献活動の長い歴史を持っている。
 私たちの先達は、このようなふるさと宮城を愛し、私たちが暮らしを営む場としてこの地をこれまではぐくんできた。しかしながら、時代の変化に伴い、今日の社会が抱える問題は複雑・多岐にわたってきている。さらに、人々の価値観は多様化し、行政や企業を中心とした従来の社会システムだけでは限界が出はじめており、問題の解決は困難になってきた。一方、社会が抱える問題に自ら積極的に取り組んでいこうとする市民の様々な活動が増えてきている。県内においても、地域の抱えている問題に、柔軟な発想で自発的かつ主体的に多彩な取組みを展開し、多様な社会的サービスの提供を行っている県民や団体が多数存在している。
 私たちは、民間非営利活動団体(NPO)等によるこのような活動が、これからの新しい社会をつくる上での大きな原動力の一つとなることを期待する。そして、社会全体がこの自発的な活動を支え、促進し、県民と行政、企業がそれぞれの社会的な意義と役割を尊重しながら対等な立場でパートナーシップを構築するとともに、互いに連携し、協働していくことが大切である。このことが、市民の参画による行政を推進し、二十一世紀へ向けての市民社会創造の第一歩となり、民主主義のさらなる発展に大きく寄与すると考えるものである。
 私たちは、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)の施行に当たり、県民の自発的な活動の意義を再確認し、その健全な発展を促進することにより、ここ宮城に、県民一人ひとりが個性豊かに暮らせるような、活力と多様性のある地域社会の実現を目指すことを決意し、ここに宮城県の民間非営利活動を促進するための条例を制定する。

(目的)
第一条 この条例は、宮城県における民間非営利活動の健全な発展を促進するための基本理念を定め、並びに県、市町村、県民、企業及び民間非営利活動団体の責務等を明らかにするとともに、民間非営利活動の促進に関する施策の基本的な事項等を定めることにより、その施策を総合的に推進し、もって県民生活の向上と活力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。。

(定義)
第二条 この条例において、「民間非営利活動」とは、営利を目的とせず、自発的に行う社会的・公益的な活動をいう。
2 この条例において、「民間非営利活動団体」とは、継続的に民間非営利活動を行う団体をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
一 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするもの
二 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするもの
三 特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするもの

(基本理念)
第三条 民間非営利活動は、自発的な意思と自己責任の下に行われ、その自主性及び自律性が尊重され、かつ、公共の福祉の向上に寄与するものでなければならない。

(県の責務)
第四条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、民間非営利活動の促進に関する総合的な施策を策定し、これを実施するものとする。

(市町村の役割)
第五条 市町村は、基本理念に基づき、当該市町村の区域の実情に応じた民間非営利活動の促進に関する施策を策定し、これを実施するよう努めるものとする。

(県民の理解)
第六条 県民は、基本理念に基づき、民間非営利活動に関する理解を深めるよう努めるものとする。

(企業の理解)
第七条 企業は、基本理念に基づき、民間非営利活動に関する理解を深め、その活動の促進に努めるものとする。

(民間非営利活動団体の責務)
第八条 民間非営利活動団体は、基本理念に基づき民間非営利活動を行い、その活動に関する情報を公開することにより、民間非営利活動への理解の形成に努めるものとする。

(基本計画の策定)
第九条 知事は、民間非営利活動の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、民間非営利活動の促進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 基本計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
  一 民間非営利活動を総合的に促進するための中核機能拠点及び地域活動拠点の整備に関する事項
  二 民間非営利活動の円滑な実施を促進するための情報の収集及び提供、交流並びにネットワークづくりに関する事項
  三 民間非営利活動に関する専門的及び技術的研修等による人材の育成に関する事項
  四 民間非営利活動を資金的に支える仕組みの整備に関する事項
  五 主として民間非営利活動への各種支援を行う民間非営利活動団体の育成及び活動促進に関する事項
  六 民間非営利活動の促進に関して必要な調査研究及びその成果の普及に関する事項
  七 民間非営利活動についての広報及び啓発に関する事項
  八 前各号に掲げるもののほか、民間非営利活動の促進のために必要な事項
3 知事は、基本計画を定めるに当たっては、議会の議決を経なければならない。
4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5 前二項の規定は、基本計画の変更について準用する。
                (平一五条例一・一部改正)
(施策の実施)
第十条 県は、基本計画に基づき、民間非営利活動を促進するための必要な施策を講ずるものとする。

(税制上の措置)
第十一条 県は、民間非営利活動を促進するため、税制上の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(推進体制の整備)
第十二条 県は、民間非営利活動の促進に関する施策を総合的に調整し、かつ、効果的に実施するための推進体制の整備を図るものとする。

(民間非営利活動団体との連携協力)
第十三条 県は、民間非営利活動の促進に関する施策について、民間非営利活動団体と互いに連携協力し、パートナーシップを構築するよう努めるものとする。

(市町村等との連携協力)
第十四条 県は、民間非営利活動を促進するために実施する施策について、市町村と互いに連携協力するよう努めるものとする。
2 県は、民間非営利活動を促進するため、国及び他の都道府県と広域的な連携協力を図るよう努めるものとする。

(企業及び関係団体との連携協力)
第十五条 県は、民間非営利活動を促進するため、企業及び関係団体と連携協力を図るよう努めるものとする。

(促進委員会の設置等)
第十六条 県は、民間非営利活動を促進するため、宮城県民間非営利活動促進委員会(以下「促進委員会」という。)を設置する。
2 促進委員会は、民間非営利活動の促進に関する基本的な事項を調査し、審議し、知事に意見を述べることができるものとし、知事は、促進委員会の意見を尊重するものとする。
3 促進委員会は、委員十五人以内で組織し、委員は、学識経験を有する者及び民間非営利活動関係者等のうちから、知事が任命する。
4 委員の任期は、二年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 促進委員会に会長及び副会長一人を置き、委員の互選によって定める。
6 会長は、会務を総理し、促進委員会を代表する。
7 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
8 促進委員会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。
               (平一七条例一一〇・一部改正)
(促進委員会の部会)
第十七条 促進委員会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。
2 促進委員会に、部会の所掌に属させられた事項(以下「所掌事項」という。)の調査審議に資するため、部会委員を置くことができる。
3 部会委員は、所掌事項に関し優れた識見を有する者のうちから、知事が任命する。
4 部会に属すべき委員及び部会委員は、七人以内とし、会長が指名する。
5 部会委員の任期は、二年を超えない範囲内で知事が定める期間とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の部会委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 前条第五項から第八項までの規定は、部会について準用する。
7 促進委員会は、その定めるところにより、部会の議決をもって促進委員会の議決とすることができる。
                (平一七条例一一〇・追加)
(促進委員会の運営に関する事項)
第十八条 前二条に定めるもののほか、促進委員会の運営に関し必要な事項は、会長が促進委員会に諮って定める。
                (平一七条例一一〇・追加)
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成十一年四月一日から施行する。
(附属機関の構成員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 附属機関の構成員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例(昭和二十八年宮城県条例第六十九号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附 則(平成一五年条例第一号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成十五年四月一日から施行し、同日以降の計画の策定、変更又は廃止について適用する。
附 則(平成一七年条例第一一〇号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(附属機関の構成員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 附属機関の構成員等の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例(昭和二十八年宮城県条例第六十九号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略


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