第4回NPOマネジメント講座 NPOの事業診断セミナー 経営コンサルタントに聞く、組織の弱さを強さに変える方法
●講師:波多野 卓司さん (経営コンサルティング波多野事務所 代表) ●日時:2009.11/25(水) 18:30〜21:00
想いから活動を始めたNPOも、一度立ち止まって自分たちの活動を客観的に分析することが必要です。そこで、様々な企業研修で活躍中の経営コンサルタント・波多野卓司さんを講師に招き、団体の弱みと強みを分析し、今後の事業につなげる方法を学びました。 カウンセラー・プロコーチの顔も持つ波多野さんは、県内外の創業・経営支援に関わり、数多くの成功事例を生み出しています。また、起業家の相互支援コミュニティ「一番商品づくり塾」の主宰や、中小企業診断協会宮城県支部理事など精力的に活動しています。 まずは、ワークシートを使って自分の団体の強みや弱みについてなるべく数多く書き出します。その後、波多野さんの豊富な経営支援の経験から、「強さを生かし、弱さを補強する」キーワードが具体的な成功例と共に紹介されました。どの事例も、企業だけではなくNPOでも活用できるものばかり。参加者からは思わず、「へ〜」と納得の声が上がることもありました。では、講座から3つのキーワードをご紹介します。 ■連携〜左右をつなぐ〜 自分たちの組織の中だけで改革を考えようとすると限界があり、“結局何も変えられない”とあきらめてしまうことがあります。そんな時は、どこと連携できるか?を考えてみましょう。 【事例】来館者を増やすには? 某観光地にある施設では、集客数が右肩下がりで頭を悩ませていました。そこで、来館者にルート調査を実施。来館者は、近隣の温泉や道の駅にも合わせて訪れていることがわかりました。 さっそく施設では、施設案内のパンフレットを近隣の温泉旅館や道の駅に置いてもらうように交渉。代わりに、旅館や道の駅のパンフレットも預り、施設に設置しました。施設の集客率は次第にアップしたのです。 ポイントは、双方ともお客様に紹介できる観光地のオプションが増えるというメリットがあったことです。また、パンフレットを設置するだけなので、お互いの負担が少なかったことも挙げられます。これは、他の分野でも連携しやすい例です。 ■NO、そしてYES すべてのお客様に来てもらおうとするばかりに、魅力のない事業・サービスになってはいませんか?思い切って客層や地域で顧客先を絞り込むことも必要です。どういうお客様に対して「NO」というか?を決めること。残ったものこそ、自分たちが提供するものなのです。 【事例】セミナーの参加者が10倍になった理由 某起業支援セミナーの参加者が停滞し、主催者が悩んでいました。そこで、内容は同じですがタイトルを「女性のための○○セミナー」と変えたところ、100名の参加申込がありました。対象を女性に絞ったためマーケットは半分になりましたが、参加者は10倍に増えたのです。 誰でもOKという内容は、なかなか集客に結びつきません。まず、NO(できないこと)を決めることで、自分たちの存在意義が明確になります。 ■メディア活用 仙台初、東北初、といった「○○初」を企画すると、メディアで大きく取り上げてもらいやすくなります。規模が大きくても先行例があるものより、ささやかでも、前例のない企画をすることが大切です。 「事業のプランニングは、とにかく何回も作っては壊し、作っては壊し、を繰り返していくことです。その中で、見えないものが見えてきます」という波多野さん。NPOにとって、事業を俯瞰して整理するための実践的な内容が学べた講座となりました。
▲ページトップへ