【講座内容】
1 不正について
2 内部統制
3 現金等資産にかかわる具体的な管理方法
4 チェックシートで確認〜『うちは大丈夫?』
5 万が一、起こってしまったら…
団体責任者の役割と責任とは、団体の財産を守る仕組みをつくること。会計実務者の役割と責任とは、仕組みを実行し報告することである。
NPO会計における不正とはどのようなものか。担当者の現金横領、運営者(理事)によるキックバックまたは法人ぐるみの不正などがあげられる。不正を放置すれば、その団体の信用低下や解散の危機を招き、ひいてはNPO全体の社会的信頼の低下につながってしまう。
それでは不正を防げないのはなぜか。不正は「不正を合理化する背景がある」「不正を行う動機がある」「不正を行うチャンスがある(内部統制が不十分)」という3つがそろうことによって起こりえる。これらを防ぐためは内部統制が必要になる。
内部統制とは「内部の相互牽制の仕組みにより不正や誤りの発生を防止・発見する仕組み」のこと。つまり、不正のチャンスを与えず、不正をしてもすぐ分かるような仕組みのことである。
内部統制の具体的な方法。ポイントは、すべての取引が迅速に記帳されて現物と帳簿の一致が確かめられること。これを業務として定着させなければならない。その方法のひとつとしてNPOのための日誌形式の現金出納帳『NPO会計日誌』紹介。帳簿がつけやすい、証憑書類の整理がしやすい、不正や不明朗なことが起こりにくくなるなどの工夫がされたものである。また、もうひとつの方法として「内部統制自己チェックシート」紹介。現金、預金、印鑑、その他換金可能な資産、領収証、金庫や金庫の鍵、支払取引、棚卸資産、固定資産や少額備品などの管理状況についての現状をチェックするもの。これをスタッフが共有し、組織で自己点検できる仕組みを作ることが重要なポイントである。
最後に、それでも、不正が起こってしまった場合の措置についても学んだ。万が一起こってしまったら、早急に事実関係を把握し、原因を究明、再発防止策を検討しなければならない。そして、実際に防止策を機能させ、その策が有効であるか検証しなければならない。
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