2月4日(日)、塩竈市公民館にて宮城県(みやぎNPOプラザ)と塩竈市・多賀城市・松島町・七ヶ浜町・利府町の二市三町とが合同で交流事業を開催。NPO関係者、市民、行政職員など約200人の参加がありました。
基調講演は「豊かな地域づくりを進めるためには」をテーマに高崎経済大学地域政策学部助教授櫻井常矢さんの講演を聞きました。
大崎市で自治組織・市民協働アドバイザーも務めている櫻井さんは、どこの地域でも行政だけでは対応できない課題があることを指摘し、大崎市の地域自治組織が主体的に活動をしている様子や、新潟県上越市安塚細野集落で展開されている地域づくりの事例を紹介しました。
■元安塚町の話
豪雪地帯で有名な安塚細野集落は、世帯数25戸、人口80人の行政区。27年前、当時の40歳代が集まり、10年後の地域の過疎と高齢化を予言。「これからの時代は、男性だけが地域づくりをするのではない」という考えから、まずは夫婦同伴で先進地の視察研修へ。その後、「ささ団子づくり」と「山菜取り」を柱に“心をこめてもてなす”という外の地域との交流イベントを実施し、大成功をおさめた。
これを機に、「ささ団子」をつくるための女性の作業場や、男性の作業場である工芸品工房細野を建て、「心からもてなす」ための民宿もつくった。現在、16人が関わり、年間約3千万円の事業収入がある。利益が出るまでになったことから
“株式会社”にしようという案が出たところ、「ささ団子」をつくっている女性が「16人だけの儲けではない。先代の地域を支えてきてくれた人がいたから出来たのだから、地域に還元する方法にしたい」と強く希望。結果、NPO法人自然王国細野村が誕生した。今では3つの事業の収益は、福祉、教育、暮らしなどで細野地域全体に還元される仕組みとなっている。
この後、櫻井さんは「地域コミュニティを構築していくには、地域ごとに目的を持って取組んでいくことが大切である。NPOだけが頑張っても地域づくりはうまくいかないので『地縁(縦糸)と志縁(横糸)の関係』=『地域住民とNPOの関係』が大事になってくる」と話し、「今は地域活動に関わっていない若者や団塊の世代の人材を引っ張り込み「横のつながり」をつくる。そして、今まで地域に出てこなかった若者やよそ者の話を聞き、認める力を持つこと」などアドバイスしました。
講演後は、地域の顔がみえる関係作りを目的に交流会を開催。100名を超える参加者は16の市民活動団体の発表を聞きながら交流しました。今回の行政区を超えての試みが、地域の連携の機会になり、豊かな地域づくりが展開されるよう期待しています。
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